生物多様性保全の意義

 前編で里山の一部の場所でのみ撮影した生物の写真をお見せしましたが、それでも多様な生物の存在がご理解いただけたと思います。しかしながら、1940、1950年代と比べると生存が見られなくなった生物がかなりあります。

 それにも関わらず我々人類の生存が脅かされた様子はありません。それでは、生物の多様性保全の重要性が叫ばれていますがなぜでしょうか。

 生物多様性の定義については専門書に記述されていますが、なかなか複雑です。今まで簡単明瞭な説明はできないものかと自問自答してきましたが、次のように考えるのが良いと思います。

 すなわち、この地球上での生物による「物質(エネルギー)循環」の重要性を言っているのだと思います。生物は栄養素(食物)として物質を取り入れ成長し、子孫を残してやがて死に、その体は土に帰ります。

 生物の誕生から死亡までを一つの小さな輪(circle)と考えると、死体を分解したり、無機物を栄養素として植物などが取り入れたり、食物連鎖で上位の生物が下位の生物を食べるのは、その輪に連結が生じ、より大きな輪(link)になっていると見なします。また、同じ物質循環を行う(circleの)生物種は複数いることでしょう。

 このような輪の連結が生物圏(biosphere)には多重的、多層的に作られているのです。単純な説明に例えれば、愛知万博のスペイン館の外壁のように多様な色の6角形の輪(ブロック)が積み重なり、かつ多層になっていると考えると理解しやすいです。

 例えばある1種の生物が絶滅して1つの小さな輪が欠ける(ブロックが1つ欠ける、物質移動の小道(pathway)がなくなる)ことになってもたいした影響は出ないでしょう。

 しかし、実際には生物圏では輪に大小(物質循環量の大小)があります。また、輪のいくつかがところどころ個別に、場合によっては縦や横に連なって欠けたらたらどうなるのでしょうか。大きな影響が出て、壁が崩れるかも知れません。なお、人類はその最上段のブロックの1つであり、かつブロックを破壊する最大の生物でしょう。

 このような理由から、一つ一つの生物種の位置づけ・役割が明確でない現状において、他の生物を利用して生存しているHomo sapiens(賢いヒト)は、生物の絶滅を防ぐ必要があるということになります.

 さて、少し横道にずれたかも知れませんが、生物生息環境保全の重要性を念頭に置き、里山の生物を取り巻く環境について写真で考察し、生物保全の方策のヒントを探っていきましょう。